杉山 宙
東京大学大学院医学系研究科精神医学分野学術支援職員 Research Assistant in Department of Neuropsychiatry, The University of Tokyo
経歴
- 2015 東京大学教育学研究科 総合教育科学 教育心理学コース 修士課程(修了)
- 2015- 東京大学教育学研究科 総合教育科学 教育心理学コース 博士課程(在学中)
- 2016- 東京大学医学部附属病院 精神神経科 学術支援職員
研究分野とメッセージ
ヒトはなぜ思春期を迎えるのでしょうか。人間が長い時間をかけて進化してきた類人猿の仲間として考えると、長く特徴的な思春期は、他の動物とは異なる人間の大きな特徴の一つだと言われています。
皆さんも、「思春期とは感情が不安定になったり、親や他の大人に反抗したりするものだ」と一度はどこかで聞いたことがあるでしょう。あるいは今まさに思春期を過ごしている方の中には、自分自身の心でそれを実感している人もいるかもしれません。しかし実際には、それぞれの人が思春期にどのくらい”荒れる”のかには、大きな個人差があることが分かっています。思春期に感情が不安定になったり、色々な相手に反抗するのが自然なことであるのと同じように、思春期にそうならないこともまた、自然なことなのです。
これは考えてみると、とても不思議なことです。一般的に、思春期の”荒れ”は、子どもが親離れをするために必要だと考えられることが多いです。しかし、それだけだとしたら誰もが同じように”荒れる”はずですが、決してそんなことはありません(それに”荒れない”子が親離れできていないということもありません)。
私は、そんな思春期の”荒れ”が、人間の進化の中でどういった目的をもって獲得され、そして、どうしてこんなにも大きな個人差があるのかを明らかにしようとしています。
思春期の”荒れ”とその個人差に、どんな意味があるのかが明らかになれば、思春期のまっただ中で、不安定な自分の感情や自分で抑えられない行動に困っている人の手助けをすることもできますし、逆に、そんな”荒れ”がないことに困っている人の手助けをすることもできると信じています。